第5回
贈りもの上手のコツ(ビジネス編)
お中元・お歳暮は、日頃の感謝をどう伝えるか
——— 前回に続いて、今回はビジネスシーンでの贈りもののコツについて、教えて下さい。
女将ビジネスで一番よく使う贈りものといえば、お中元・お歳暮ですね。会社同士の場合、品物は、毎年同じものでもいいと思うんですよ。「いつもあれを送ってくれる会社」と、品物によって会社を印象づけられたり。
ただし私は、宅急便で品物を送るのではなく、実際にご挨拶に出向くようにしています。お中元・お歳暮は、1年の節目に、日頃の感謝をモノに託して伝えるもの。普段はメールや電話でコミュニケーションしていても、大事なときは「顔を合わせて言葉を交わす」というのが、やはりお付き合いの基本かなと思います。
——— あくまでご挨拶が目的ということですね。
女将もちろん可能な範囲でいいと思います。弊社の場合は、お正月に取引先を回るようにしています。訪問すると、かえって迷惑をかけるのでは?と思うかもしれませんが、長居をするわけではないですし、「お忙しいところ恐縮ですが、少しだけご挨拶に参りました」と言えば、相手も「わざわざご丁寧に有難うございます」となるわけで。何を話すか、何を贈るかも大事ですが、やはり「会う」ことに意味があると思いますね。
——— 県外や遠方の方など、足を運べない場合は?
女将できれば、「季節のご挨拶をお届けしました」と事前にお手紙をお送りするのがいいと思います。もちろん、品物に同封してもいいけれど、別に挨拶状を送る方がより丁寧。
ものを送るときは事前にお便りし、いただく側も「届きました」と一報送る。こうしたちょっとした相手へのはからいが、長いお付き合いの秘けつかもしれませんね。
手土産は、お付き合いの潤滑油
心が緩む “サプライズ”をお届けする
——— 取引先への手土産の場合は、どうすればいいでしょう。
女将取引先へ出向くとき、「道中で見つけたのでお口汚しに」とか「暑いときなので冷たいものもってきました」「寒いから温かいものでもどうぞ」とか。一言添えて、贈るのが手土産。それをしたからといって、仕事の中身が変わるわけではないけれど、お付き合いの中でちょっと心が緩む、緊張をほぐしてくれる、そういう潤滑油になってくれるのが手土産だと思うんですね。
品物を選ぶときは、手間がかからず、その場で開けて職場で楽しんでもらえるもの。お菓子なら、小包装で日持ちするものを選ぶようにしています。県外に持参して、意外と評判が良かったのは、うどん県の付箋ですね。職場で分けられるし、文房具ならいくつあっても困らないので。
——— 改まったシーンではどうすればいいでしょう? 例えば、経営トップにお会いするときなど。
女将お相手が県外の方なら、事前に配送しますね。
例えば、アポイントの前日に届くように盆栽やオリーブの木を送り、当日はお菓子など簡単なものを手土産に持参します。当日伺うと、早速玄関やお部屋に飾って、「香川県って、オリーブが県木なんですね」とわざわざ調べておいてくださる方もいて、相手の粋なはからいに感動することも。「こちらこそ、御社とのご縁が根付くようにと思いまして」なんて、初対面からぐっと距離が近くなりますよね。
——— なるほど。初対面でさりげなく気の利いたご挨拶ができると効果的ですね。
女将ほかにも、旬のみかんやレモンを箱で送ったこともあります。職場の皆さんで分けてくださいと。ご当地ものというだけでなく、季節感や旬を贈る、お付き合いの潤滑油としてちょっとした“サプライズをお届けする”というのもいいと思います。(つづく)